Mamiya Press Digital Hybrid
フイルムカメラのデジタル化プロジェクトの第2段です。
今回は、マミヤプレスとソニーα7Ⅱを合体させてみました。
マミヤプレスは1970年から30年近く販売された 6X9 サイズの中判カメラです。
マミヤプレスには前期型と後期型があり、外観が大きく異なります。写真左は前期型最終モデルの Mamiya press Standard 、右は後期型最終モデルの Mamiya UniversalPress です。 マミヤ二眼レフのデジタル化がうまくいったので、このカメラもデジタル化してみました。
どのモデルも使えるレンズに違いはありませんが、今回は最後期型の UniversalPress で試す事にました。
フランジバックを合わせる
Mamiya Flex C2(二眼レフ)では本体を改造しなくても 105ミリと135ミリで無限遠のピントが得られました。しかしこのマミヤプレスではデジカメをマミヤ本体内にを押し込んで、本来のフィルム位置までセンサーを持って行かないと、どのレンズも無限遠のピントが得られません。
幸いなことに、デジカメのグリップがマミヤ本体にぶつかる箇所だけを削り取る事で、デジカメが中にスッポリ収まり、センサーをフィルム位置に合わせる事ができました。そのあと遮光とブラケットによる連結を行なって改造は完了。
また、マミヤプレスのファインダーは取り外してあります。ファインダーは元に戻せますが、その必要は無さそうです。デジカメのファインダーを使うと、より正確なフレーミングとピント合わせができます。マミヤプレスのボディからファインダーが無くなり、ただの箱のようになってしまいましたが、合焦精度の向上と軽量化により、実用性が高まりまりました。
でき上がった Mamiya Pres Digital Hybrid の姿
今後の撮影に役立ちそうな、50mm、65mm、250mmを装着してみました。ファインダーは外してありますが、必要に応じて元に戻せます。
使用できるレンズ
フランジバックが一致しているので、フィルムでの撮影時と同じ範囲にピントを合わせる事ができます。
マミヤプレス用レンズ群。他にも 90mm F3.5がああり、これらの全てのレンズで利用できる。
マミヤプレスの50mm広角レンズ(35ミリ換算で21 ㎜)は、 35ミリフルサイズのセンサーで撮ると、そのまま50ミリ標準レンズの画角になります。そうなるともう少し短い焦点距離のレンズが欲しくなります。ワイドコンバータ付けると35mm相当くらいにはなります。しかし画質が低下しますので、広角側はマミヤにこだわらずα7Ⅱ用の市販レンズに任せた方が良さそうです。
各レンズの画角とピントを確認
保有している10種のレンズで実写してみました。全レンズを順に装着し、ピントリングを遠景側(∞)に回し切った状態で撮影しました。どのレンズも1km 以上離れた民家や鉄塔に合焦しており、最適な位置にデジカメのセンサーが置かれている事がわかります。
実写結果:以下のレンズ名をクリックするとフルサイズ画像(6000 x 4000)が表示されます。
写真左上から、50mm F6.3、65mm F6.3、75mm F5.6、90mm F3.5、100mm F3.5、100mm F3.5 沈胴、100mm F2.8、127mm F4.7、150mm F5.6、250mm F5。
75mm F5.6以外は絞り値を F8に設定。75mm F5.6は故障(シャッター羽根がいびつに半開き状態)のため絞り値は不明。ソニーα7Ⅱのクリエィティブモードは STANDARD、ホワイトバランスは AUTO 、ISO 400で撮影。画像はPhotoshop で自動レベル調整。
50mm F6.3で試し撮り
3枚目の写真はワイドコンバータを装着し、35mm くらいの焦点距離になっています。
250mm F5で試し撮り
市販のデジタルバックを使うという選択肢
素直に市販のデジタルバックを使うという方法もあります。ただ単にフイルバックをデジタルバックに置き換えるるだけであり、改造を行わず高画質が得られます。これにはマウントアダプタが必要になりますが LenseMod 社から入手できるようです。こちらの記事 と 動画 で紹介されていますのでご覧ください。
中判デジタルバックは極めて高価ですが、中古市場では随分安く手に入るようです。今後さらに値下りし、入手しやすくなることを期待しているところです。
マミヤ側とミラーレス側の機能の使い分け
このこのカメラは、フィルムバック(撮像素子)の無いマミヤプレスと、レンズが無いミラーレス機を合体させたものであり、ファインダーとシャッターは重複しています。
今回の試写ではミラーレス側のファインダーとシャッターを使いましたが、マミヤプレス側でフレーミングして、撮影する事もできます。
ファインダーと距離計
マミヤプレスのファインダーを除去せず残しておけば、レンジファインダー感覚での撮影が可能になり、マミヤプレス本来の撮影スタイルを保つことができます。しかしフレーミング・ピント精度ではミラーレスの機能にはかないません。常に双方のファインダーが機能しているので、両者を使い分ける事もできます。
シャッター
バルブモードで片方のシャッターを開けっぱなしにした状態で、一方のカメラのシャッターを切ります。
ミラーレス側のシャッターを使う場合には、マミヤ側のレンズシャッタをバルブに設定し、ミラーレス機のシャッタボタンを押す直前にマミヤ側のシャッターを切ります。マミヤ側のシャッターを使う場合はその逆です。
グリップを握ってカメラを構えた状態で、左手の人差し指はマミヤのシャッタボタンの上に乗っており、右手の人差し指はミラーレス機のシャッターボタンの上に乗ってているので、どちらの方法でもスムーズに撮影できます。マミヤ側のシャッターを使う場合には自動露出機能は使えませんが、ミラーレス機を露出計として利用する事ができます。
このハイブリッドカメラでは、ミラーレス機を単なるデジタルバックとして使用して、マミヤ側のファインダーでフレーミングとピント合わせを行い、マミヤ側でシャッターを切るという使い方もできます。
しかしミラーレス機のピント拡大機能や手振れ補正機能などを使うと、労せず撮影精度を向上させる事ができます。数あるプレス用交換レンズの秘められた実力を引き出す為に、マミヤプレス旧来の撮影スタイルにこだわるよりも、これらの機能を積極的に活用したいと考えているところです。
まとめ:改造と実写を終えて
改造は思いのほか簡単でした。デジカメのグリップがぶつかるマミヤプレス後部の1か所を削り取るだけで、デジカメをマミヤプレスのボディ内に押し込む事ができました。
フランジバックは、デジカメを仮止めした状態で実写して割り出しました。そしてカメラ間の間隔をノギスで測って、ブラケットの図面を作成し、業者さんに発注しました。
カメラ本体の改造を避けるため2台のカメラの固定は、三脚穴で行いました。遮光はウレタンと黒い布製の電工テープを使って行いました。
それなりに時間はかかりましたが、試行錯誤を繰り返すことなく、スムーズに作業を終える事ができました。
試し撮りは、デジカメのファインダーとシャッターを使つて行いました。ラインナップされている全てのレンズで実写したところ、全てで無限遠が得られ、どれも驚くほど良く写りました。これは特筆すべき成果でした。
当初はレトロ感を楽しむ事を意図していましたが、このれらのレンズの高い描写力を生かすべく、常用カメラとして利用する事にしました。そこで、フレーミングとピント合わせをデジカメ側で行う事にして、マミヤプレスのファインダーブロックをを取り外状態で使用しています。
レンズの画角は、35ミリセンサーによってクロップされる事によって望遠側にシフトします。ワイドコンバータも試しましたが、画質が低下するため、短焦点での撮影には素直にソニー Eマウントのレンズを使う事にしました。
このカメラをデジカメ側から見ると、マミヤ本体の役目は単なるマウントアダプタのようにも思えます。しかしそのフォルムはレトロ感を留めており、左手でグリップを握りしめてカメラを構えると、あたかもレトロなフィルムカメラで撮っているかのような、撮影感を味わう事ができます。
社外品のアダプタを入手する事により、市販のデジタルバックも利用できるようです。しかし今回の成果を受け、この方法が「安上がりにデジタル化するための最良の選択肢」であることを確信するに至りました。















