絶滅寸前のフィルムカメラを、デジタル化で救出!
我が家に眠る大量のフィルムカメラ。久々に使ってみよう!と思いついて棚から取り出してはみたものの、フィルムが高くて手が出せません。
そうです! 時代はデジタル。どうやらフルムは絶滅の危機に晒されているようです。このままでは、我が家のカメラも粗大ゴミになってしまいそうです。

デジタル化で蘇る MamiyaFlex C2 Professional
そこでフト思い付いたのが、デジカメをフィルムの代わりに使えないものか?という極めて安直な考えです。そして手持ちのカメラの中から、マミヤの二眼レフ(中判フィルム)とソニーのα7Ⅱ(フルサイズデジタル)を使ってこれを試してみる事にしました。
さしあたり、裏蓋を外したマミヤの二眼レフを左手に持ち、右手に持ったデジカメのフランジを二眼レフ背面の感光窓に押し当ててシャッターを切ってみました。するとどうでしょう、バッチリ写るではないですか!。そしてその描写はオールドレンズ特有の柔らさと現在のレンズ並の解像度を兼ね備えた素晴らしいものでした。
左手に二眼レフ、右手にデジカメを持って試し撮り
レンズはセコール10.5cm F3.5。レンズ側のシャッターをバルブモードで開き、デジカメ側でシャッターを切る。カメラどうしが固定されていないため、方ボケが生じている。
これで二眼レフとデジカメのいずれにも全く手を加えなくてもデジタルデジタル撮影が可能な事がわかりました。そして次に、金具を使って2台のカメラをを固定しました。裏蓋には光を通すための穴を明けてあります。こうして謎の二眼レフ Mamiya Flex C2 Digital Hybrid(仮称)が誕生しました。
金具によるカメラの固定
2種類の金具を用意し、双方を連結して使用します。
1つ目の金具は Mamiya C2側に使用します。Mamiya 純正 L型グリップBとC2本体の間に挟み込みます。そしてグリップのノブネジを絞め付けるるだけで、しっかり固定できます。C2裏蓋との間はタッピングネジで固定します。もし三脚を使いたい場合には、 L型グリップBの三脚用ネジ穴が利用できます。
2つ目の金具はα7Ⅱ側に使用し、三脚ネジでカメラを固定します。
2枚の金具を連結した後、これをまず Mamiya C2に取付けます。C2本体とグリップの間に挟み込んで取り付けた後、裏蓋との間をタッピングネジで固定します。(写真1~5)
Mamiya C2への取り付けが終った後、α7Ⅱを金具に乗せて三脚ネジで固定します。(写真6~8)
フィルムとの併用
改造箇所は裏蓋だけなので、裏蓋を取り換えれば元のフルムカメラに戻ります。裏蓋単体での入手は難しかもしれませんが、ジャンク品から部品取りを行うという手もあります。また他機種の裏蓋を取り付けてみたところ、初代C型、C22、C3、C33の裏蓋がピッタリはまりました。フィルムを通していないので断言できませんが、これらの裏蓋も利用できそうです。あたかもデジタルバックをフィルムバックに付け替えるかのような手法で、フィルムカメラに戻す事ができます。
完成した Mamiya Flex C2 Digital Hybrid の勇姿
Mamiya Flex C2 Digital Hybrid による試写
自宅近くから観音寺山を望む レンズ:セコール10.5cm F3.5
全景(1枚目)と拡大 5x(2枚目)及び拡大 10x(3枚目)
6x6の標準レンズとして用意された 105mm(10.5cm)の焦点距離は 35mmフルサイズでは中望遠に相当します。このレンズで6㎞先の観音寺山を撮影しました。そして解像度を確認するために5倍と10倍に拡大てみました。山中の石垣や建物がしっかり写っているのには驚かされます。
自宅近くの劔神社。レンズ:セコール10.5cm F3.5 + ワイドコンバータ
このカメラでは、6×6サイズの画像が35ミリサイズに切り取られて、標準レンズが中望遠レンズにシフトします。これを元の画角に近付けるため、ワイドコンバータ 0.5x HD-5050PRO を着けて撮影しました。これでほぼ標準域(35mミリ換算で60ミリ相当)の画角を取り戻す事ができました。描写にはフレアが見られ、オールドレンズらしいソフトな描写になっています。
Mamiya Flex C2 Digital Hybrid で利用できるレンズ
脱着可能な裏蓋に穴をあけたが本体には加工を加えておらず、レンズや他のアクセサリの装着に制限はありません。ただしデジカメのセンサーが、本来のフィルム位置より後方に移動してしまっているので、無限遠が得られるレンズは10.5cm F3.5 、105mm F3.5 DS、 135mm F4.5 に限られます。他のレンズは無限遠が出ませんので、マクロ撮影などの用途に限られます。
また、これらの交換レンズの中で 10.5cm F3.5 は、70年近くも前(1957年/昭和32年)に発売されたものとは思えないほど良く写ります。
C220 Professional の撮影距離表示板

この105mmと135mmのレンズはフランジバックが極めて長く、蛇腹を半分近く開いてレンズを前に繰り出した状態で、無限遠にピントが合うように設計されています。このためデジカメのセンサーが本来のフィルム位置より手前(撮影者側)に移動していても、その分だけ蛇腹をたためば無限遠が出ます。
この事により、105mmで9mm、135mmで6mm、103mm DSで3mm程度蛇腹を繰り出したところで無眼遠にピントが合います。しかし他のレンズは蛇腹を畳み切っても無限遠は出ず、180mmでは約 15メートル、250mmでは 約8メートルを超えるとピントが合いません。そして他のレンズではさらに顕著であり、55mm F4.5では約 25センチメートル、65mm F3.5では約20センチメートル、80mm F2.8では約40センチメートル以内にしかピントが合いません。
55mm F4.5、65mm F3.5、80mm F2.8 でマクロ撮影
フランジバックが短いこの3つのレンズでは、極めて近い位置にある被写体にしかかピントが合いません。これではマクロ撮影にしか使い道がなさそうなので、実写によりマクロ倍率を確認してみました。
55mm F4.5、65mm F3.5、80mm F2.8ではマクロ域でしか使用できない。この3本の最小倍率と最大倍率を実写で確認した結果、最大0.8~1.2倍程度のマクロ倍率が得られる事が分かった。以下の画像は 36mm x 24mmノートリミング。
180mm F4.5で遠景を試し撮り
180mm F4.5では、おおよそ15メートル離れたところまでピントが合います。そこで、15メートル離れた位置にある柱上トランスを撮影してみました。また画角を比較する為に、135mm F4.5、105mm F3.5でも撮影しました。無限遠の位置にある雲もしっかり写っており、それなりに使い道はありそうです。絞りはF:11。
画僧はクリックにより拡大。レンズ名をクリックするとフルサイズ(6000×4000)表示。
250mm F6.3で遠景を試し撮り
250mm F6.3では、おおよそ8メートル離れたところまでピントが合います。そこで、8メートル離れたところから柱上トランスを撮影してみました。また画角を比較する為に、180mm F4.5、135mm F4.5、105mm F3.5でも撮影しました。このレンズは遠景撮影には不向きですが、1.3メートルくらいまで寄れるので、望遠マクロ的な使い方ができそうです。
画僧はクリックにより拡大。レンズ名をクリックするとフルサイズ(6000×4000)表示。
このハイブリッド構造ではどうしてもフランジバックが長くなる事が避けられず、合焦範囲が変わってしまいます。この問題を回避できるアプローチとして、が本体を改造して 48x36mm センサーのリーフ製バックを取り付けた例も紹介されています。まさにこれが理想ですが、素人にはかなりの大仕事です。
Mamiya Flex C2 ProfessionalとMamiya Cシリーズ
レンズ交換が可能な二眼レフ、マミヤフレックス Cシリーズは1957年1月に発売されました。その翌年の昭和33年6月(1958年)には改良版である Mamiyaflex C2 Professionalが発売されました。その後も改良が続けられ、1994年(平成6年)まで37年にわたり生産が続けられました。交換レンズは 55mm F4.5、65mm F3.5、80mm F2.8、80mm F3.7、105mm F3.5、DS 105mm F3.5、135mm F4.5、180mm F4.5、250mm F6.3が用意されていました。
当方ではこれらの歴代モデルと交換レンズ・アクセサリー類のほぼ全てを保有しています。そして今回は、昭和33年6月(1958年)に2代目モデルとして発売された Mamiya Flex C2 Professionalを取り上げてデジタル化を試み、105mm F3.5などの主要な交換レンズを装着して試写しました。
できれば中判センサーで撮りたいところだが・・・
より大型の中判センサーを使って、本来の画角に近づけたいとは思うのですが、おいそれと踏み切れません。
市販されているデジタルバックはどれも驚くほど高価です。しかもManiya Flex用のマウントアダプタが市販されていないので自作しなくてはなりません。そのそもフランジバックも簡単に合わせられそうにありません。もう一つ、中判ミラーレスカメラ GFX50S II を使うという手もありますが、これもマミヤ本体の改造が必要になりそうです。
今回のハイブリッドカメラは、カメラ本体には手を加えず、脱着式の裏蓋の加工と金具よる連結だけでで出来上がりました。交換レンズはどれも驚くほど良く写り、用途さえ選べば良く写るデジタルカメラとして常用できそうです。この予想を上回る成果に大満足しているところです。
そこで、マミヤ二眼レフのデジタル化はここで終え、次のプロジェクトとしてマミヤプレス(Mamiya Universal Pres)のデジタル化に取り組みました。そしてその成果を Mamiya Pres Digital Hybrid で公開しています。
ダイアン・アーバスが愛用した Mamiya C33
余談ですが、このマミヤC 二眼レフは、ダイアン・アーバスが愛用した事でも知られています。写真の中の彼女が手にしたカメラはどれもマミヤC二眼レフ。カメラ本体は C33 Professional 、レンズは 65mm F:4.5 と105mm F:2.8/80mm F:3.5 あたりでしょうか。
そして、今回の試みを通じて、このカメラを愛用したダイアン・アーバスの写真やその来歴に触れる機会を得ました。ダイアン・アーバスはマイノリティとされる人々の姿を映像化した写真家として知られています。しかしそれだけではなく、自分は普通だと信じ込んでいる人たちに対して「普通の人など世界中のどこにもいない」という事を伝えようとしていたようにも思えます。
ダイアン・アーバスの銅像
ニューヨークのセントラルパークの入り口に 2022年から翌年の夏までダイアン・アーバスの銅像が設置されていたそうです。
写真に残る彼女の姿が忠実に再現されています。こんな仰々しいカメラを向けられたら、撮られるる側は自然体ではいられません。彼女はこの挑発的なスタイルで挑む事により、被写体からアイデンティティを引き出そうとしていたのかもしれません。
銅像の写真は こちら と こちら から引用させていただだきました。
古いカメラほど良く写る? 幕末のレンズの写りにビックリ
今回の試みで、古いフィルムカメラをほぼ無改造でデジタル化する事ができました。そしてその結果、70年近く前のレンズが今どきのレンズに勝るとも劣らないほど良く写るとに気付きました。おそらく業務用のレンズの解像度は、早い段階で十分に進化していたのでしょう。だとすると、それは100年前の事でしょうか?それとももっと昔の事でしょうっか?
そこで、次の2枚の写真をご覧ください。70年前のマミヤのレンズで撮った写真よりも鮮明に見えます。撮影時期は幕末/明治維新の頃と付記されていますので、少なくとも 150年は前の写真です。この頃のレンズの性能が、これほどまでの水準に達していた事には驚かされます。
古いレンズほど良く写るの?という疑問がわいてきます。そして幕末のカメラをデジタル化してみたいと思ったりもしたがが、さしあたり次は、マミヤプレスをターゲットにする事にしました。続編 Mamiya Press Digital Hybrid をご覧ください。